タガメビオトープって何?

タガメビオトープは、タガメの里への最初の1歩!

                           
左の写真は、タガメビオトープでの観察会のひとこまです。
私たちは谷間の休耕田13アールを借りて、ビオトープを造りました。
ここは、昔はタガメがたくさんいた地域ですが。今ではたまに、飛来した個体が見つかる程度です。タガメがたくさんいる地域から、30〜40キロほど離れています。
 私たちは、水族館で増えたタガメや、メダカなどを99年の春にここに放しました。


 地元の小学校の5,6年児童や、タガメの里を作る会会員と一緒にビオトープづくりをしました。ビオトープの一部は水田にして、赤米を無農薬で育てました。田んぼこそ本来のビオトープであり、昔の田んぼにはたくさんの生き物が生活していました。昔のような生物相の豊かな田んぼを造ってみたいという願いがあったからです。
 苗代づくりのころには、素足で泥田に入ることさえ嫌がっていた児童たちも、すっかりたくましくなり、網を持って積極的に生物調査をするようになりました。
『水辺に親しみ、自然を慈しむ子供をたくさん育てること』、これもビオトープづくりの目的のひとつです。


シュレーゲルアオガエル         ゲンジボタル             グンバイトンボ

  タガメビオトープの1年(1999年)

98年〜99年3月  休耕田の借用、小学校との交渉、教職員やPTAへの説明
          池づくり(3枚の田のうち、2枚に水を張る。残り1枚は米作り(赤米)用  
4月8日     メダカの放流

4月23日    小学校児童への説明
5月1日     苗代づくり、タガメの放流、シュレーゲルアオガエルの声が聞こえる
5月27日    近くでゲンジボタルが飛び始めた
          畦の草にモリアオガエルの卵塊3個発見
          モリアオ、シュレーゲルの声、夜によく聞こえる
5月30日    自主観察会  モリアオの卵塊、合計5個
           畦を崩すと、シュレーゲルの卵塊多数あり  ムカシヤンマを発見
6月5日      近くでグンバイトンボ多数飛んでいる  ビオトープ内のヒツジグサが咲いた

6月19日     小雨の中の田植え
           苗代の苗の中で、モリアオガエルの卵塊1個発見、タガメの卵塊も発見
           タガメの卵塊はその他に2個発見
           メダカはよく繁殖している
           ビオトープで、ミズカマキリ、タイコウチ、マツモムシの幼虫を多数発見、よく繁殖している
7月17日     観察会  児童らは泥田に素足で入ること、生き物をさがすことに慣れてきたようで、積極的に生物調査を
           するようになってきた。どろどろになって遊んでいる子供もいる

8月1日      自主観察会  伸びてきた稲の株にタガメの大きな卵塊を発見。既にふ化している
           タガメ新成虫4匹発見
9月2日、19日  観察会  ここまでに成虫になったタガメの数88匹(後日+2匹)
10月30日    鎌を使っての稲刈り、PTAもだいぶん手伝ってくれた。
11月6日     足踏み式脱穀機を使って脱穀、自治会長が機械の使い方を実演指導してくれた。

11月24日    体育館に全校児童が集まって試食会
           試食の前に5年生全員が壇上に立ち、パネルを使って1年間の報告をした。
12月5日     ボランティアの反省会兼、試食会 
             ボランティアのみなさん1年間、ご苦労様でした。   

タガメビオトープは多様な水生生物のいるところ,
 タガメは水田生態系の頂点に立つ捕食者です。そこに、いろいろな種類と大きさの餌動物がすんでいないと、生きていくことができません。これが、タガメが豊かな里の自然の象徴と言える理由です。したがって、タガメビオトープをつくるには、そこが多様な生き物のいる場所でなければなりません。タガメビオトープは、同時にカエルビオトープであり、トンボビオトープであり、水生昆虫ビオトープでもあるのです。


どんな場所ならタガメビオトープがつくれるか?
 多様な生き物がいる場所などと、難しいことを言ってしまいましたが、それほど難しく考える必要はありません。なぜなら、昔の田んぼにはタガメもゲンゴロウもふつうにいたのです。昔の田んぼがどうだったのかを考えてみれば良いわけです。殺虫剤も除草剤も使っていない、水生植物(稲も水生植物です)の茂った浅い池、こんな場所を作ってやれば良いのです。餌のトノサマガエルがたくさん残っている地域(そんな場所なら、おそらく他の生き物もたくさん残っているはずです)で、近くの谷川から常に水を引き込むことができるなど、水が干上がる心配のない谷間の休耕田を見つけたら、誰でも作れます。

タガメの里を作るには?
 
ビオトープは所詮箱庭です。タガメが繁殖し、環境教育として成功しても、それだけではタガメの里とは言えません。タガメは1日に数キロ飛んで移動します。近くに自然に優しい田んぼや、水草の豊富な池があって、村の あちらこちらでタガメを見かけるようにならないと、タガメの里とは言えません。小学校などを通じて、地元の農家の理解を求めていくことこそ、タガメの里づくりに最も重要なことです。  

タガメやタガメビオトープについて詳しく知るには?本の紹介はこちらです。

日本中にタガメビオトープやゲンゴロウのビオトープを造ろう!
タガメが生きていける水辺は、生物相の豊かなすばらしい里の自然です。
ビオトープを足がかりに、日本中にタガメの里を復活させよう!

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